2013年9月29日日曜日

T’ST絵画展

銀座校の原田です。


先週、東京交通会館で銀座校火曜日Aクラス(田巻先生担当)の会員様方によるクラス展『T’ST絵画展』を観てきました。


火曜日Aクラスは2005年5月に開講、8年目のサロンクラスです。
私も講師として初めてクラスを担当させていただいたのが同じ時期なのでこのクラスの方々とは銀座校でのキャリアが同じです。
同学年を担当させていただいていることからお振替えでお会いしたり、飲み会にお誘いいただいたりしたこともあります。

すでに4回目になる『T’ST絵画展』年々作品がどんどん魅力的になっています。
最初は展覧会をするなんて、と恥ずかしい様子だった人が近年は人と違う方法で描いてみようと欲が出てきているようです。

和紙に描いてみたり、マチエールを工夫してみたり、風景の中の人物を別の紙に描いてコラージュしてみたり。靴の絵を描いていて、途中からイメージの風景を背景にしてみたり。とにかく楽しんで描いている様子が伝わってきます。
いろいろなアイデアが湧いてきてどんどん試して描いている様子に、こどもが遊びに没頭して無心になっている姿を想像しました。
無心。そんな風に絵を描くのがいちばんいいかもしれません。

でもただ楽しんでいるだけじゃなくて、この方たちも基本を勉強したからこその楽しみだと思います。

このクラスが展覧会を始めたことで、刺激を受けてクラス展をするようになったクラスもあります。
目標があると自分の力以上のものが出せるものですね。

教室に通う理由は様々あると思いますが、クラス展をしたり個展をしたりという目標を作るのもいいかもしれませんね。

また次回が楽しみで待ち遠しいクラス展でした。











2013年9月20日金曜日

宮崎駿の話



先日、世界的に有名なアニメの監督、宮崎駿が現役から引退しました。

この監督と同時代に生きて、その作品に触れることができたのはとても幸運だったと思います。

様々に思いがあるのですがうまく纏められそうもないので、ものづくりをする人間としての尊敬をこめて、絵(模写)を描きました。

『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)からのカットです。
ちなみにこれで宮崎駿は映画作品の監督デビューをしています。





                                                              18cm×26cm 紙に水彩(ホルべイン)




今回は馬場俊光が担当させて頂きました。


芸術の秋

こんにちは、今日の担当は中田有華です。
今日は中秋の名月で、しかもめづらしく満月が重なって見事な月明かりですね。
私事のお知らせですが、10月後半、個展を行います。その制作、準備で仕事以外の日は朝からアトリエで作業をしております。疲労なのか風邪なのか二日酔いなのかわからない体調の悪さがここしばらく続いておりますが気持ちは高ぶっています。(笑)

ずっと集中して制作していると、失敗と成功が繰り返し訪れ、次第にリズムが出来てきます。そのリズムに乗っていくと最高に心地よく、最高に勘が冴えてきます。そうなってくるとしめたもので、失敗や予想外の出来事ががもはや嬉しくてたまらなくなってくるのです。なぜなら次に確実に導いてくれるからです。この過程を繰り返す事で自分の中で何を作りたいかが固まってゆきます。私は、いつも思うのですが、私の欲求はどちらかとゆうと、何かすばらしい物を作りたいとゆうよりか、制作している過程を楽しみたい、とゆう所に有る様です。この過程の中に何にも代え難い充実感が得られるからだと思っております。

少々曖昧な解りづらい話になってしまいましたが、ここでひとつ昔聞いて心が震えたドガの一節を。



木を見て葉っぱの一枚一枚を描いていたドガを見て批評家のポールヴァレリーが「絵とゆうのは何て辛抱のいる仕事だろうか!」ともらした。
それに対しまして
ドガ『単に木がありますという事を描くのが絵ではない。一枚一枚葉っぱを描いてゆく、その事が絵なんだ』



つまり・・脳みそを使って試行錯誤しながら、葉を一枚一枚平面に置き換えていく、その過程が絵を描くとゆう事なんだ、と私は解釈しています。

ドガは踊り子等の絵で有名ですが、非常に優れたクロッキーを沢山残しています。聞いた話によるとはみ出てしまう時は紙を継ぎ足し継ぎ足しして辛抱強く描き上げたそうです。そんなドガのクロッキーを見ていると単に完成を目指しているのではなくその途中経過を気持ちよくサーフィンしているかのような気にさせられ励まされるのであります!

皆さんも失敗したとすぐに落ち込まず楽しんでいきましょ〜!!!

長くなってしまいました!最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。


















最後に私の展示情報を掲載させてください。





中田 有華 
yuka nakada exhibition
2013.10 / 28 (月)-11 / 2 (土)
12:00-19:00(最終日17:00)

Musee F
東京都渋谷区神宮前4-17-3
アーク・アトリウム B03
TEL/FAX:03・5775・2469
tel/fax : 0357752469
http://www.omotesando-garo.com


ご高覧頂ければ幸いです。









2013年9月15日日曜日

絵筆と楽器

銀座校 田巻です。
先日、太郎先生がライブをする!ということを聞きつけまして、
日笠先生、中田先生と恐る恐る行ってまいりました。

普段は絵筆を持つ太郎先生の手がベースやギターを奏でています。何だか不思議です。
人間というのは、楽器や、絵の具や、音や、様々な道具を
なぜ発見し、生み出したのでしょう。
楽しむためかしら。必要だったから?
より心地の良い音の並び方を探していたから、メロディーが形作られていったのでしょうか。
楽器を持たない客の私たちは、手拍子と声とで、体ごとゆらゆらリズムに合わせます。

その夜、立石には、怪しげなミュージシャン達が大勢徘徊していたということです。



ベースを弾く太郎先生


             バンドの皆さん            

2013年9月11日水曜日

現場で描く

銀座校講師すずきくみこです。
やっと秋が近付いてきましたね!

10月には教室恒例のスケッチ会があります。
今年は東京駅周辺。

外でスケッチをするのは憧れるけれど
恥ずかしい気持ちもありますよね。
恥ずかしい気持ちは描き出してものの10分で消え去りますから大丈夫ですが(笑)

ぜひ現場で描く良さを伝えたくて
ゴッホの素敵な言葉をのせておきます。

「遠近法のフレーム(デスケルのようなもの)で
海や緑の畑をみたり、あるいは冬には雪で覆われた草原をみたり
秋には茂り具合がさまざまな樹木の枝や幹で織りなされた風景をみたり
嵐の空をみたりして訓練したら、どんなに素晴らしいことか。
そうやって時間をかけてたっぷり練習を積んでいけば
それこそ稲妻みたいなスピードでデッサン出来るようになる」
(ゴッホは日本の画家のように素早く稲妻みたいに描けることに憧れていた)


現場のよさは
360度風景が広がっていること
光が変化すること
風が吹くこと。

まずは風景を切り取ってみる=絵を想像することだけでも
貴重な経験だと思います。
普段絵を描くことを意識して景色を切り取ることはしませんから。

そうやって自分で選んだ場所を
下手でもいい、夢中で描くことで
その時の思い出は色濃くなります。

クラスの生徒さんたちといった
安曇野自転車散策スケッチ旅行で描いた絵。
今でも思い出すなぁ。


いちばんのお気に入り。
少し曇って風が吹いていた感じを出したくて粘った。
(パステルも併用)




先生らしい絵も描かなきゃ、とかっこうをつけた一枚。


通りすがりでみつけた山。鉛筆を走らせた(5分)










2013年9月7日土曜日

読書の季節



銀座校講師の坂田あづみです。

少しづつ涼しくなってきて秋の気配です。
夕焼けが美しく感じます。
秋は読書の季節。秋の夜長にゆっくり本が読みたくなります。





私は一人でお酒を飲みながら本を読むのが好きです。
難しい本は酔っぱらうと読めないので、もっぱら画集ですが。


画集を引っ張りだしてあれやこれや眺めてワインやウイスキーをちびちび。
至福のひと時(笑)

そのうちドローイングが描きたくなってきて絵具と紙をひっぱりだしてきて
夜中にどたばた描き始めます。





お気に入りのマニアックな本を二冊紹介。

一冊は静岡県にあるイズフォトミュージアムでやっていた「時の宙づり」の図録。
世界の遺影だけを集めた特殊な展示でした。
心に深く残る展示でした。

私は人の生活の中にある愛しあうかたちに魅かれます。
今は亡き愛した人たちへの気持ちはどこの国でもいつの時代でも同じ、
遺影に宿るエネルギーも変わらないのだなあと感じた展示でした。

もう一冊は20年くらい前にイギリスで手に入れた
メキシコ人の家にある祭壇の写真集です。
質素ですが、信心深いメキシコ人の心をこめた祭壇がとてもユニークかつ
素朴ですばらしい。彼らの宗教に対する思いが伝わります。



実はこの15年ずっとずっと欲しい画集があるのですが、
イギリスの大学院の図書館で見ただけでお目にかかった事がない。
確かドイツの出版社だったかな。
あの画集、どうにかして手に入れたいなあ。


今だったらネットで探しまわれば手に入るかもしれません。

2013年9月4日水曜日

熊谷守一美術館

先日、豊島区にある熊谷守一美術館に久々に行ってきました。


こじんまりとした建物ですが、とても趣のある美術館です。


初めて訪れたのはまだ学生だったので、10年以上前だった思います。
その時に初めて実物の熊谷守一の作品を目の当たりにして、とても衝撃を受けたのを覚えています。
平面的な表現ではあるのに不思議と情景がリアルに感じられ、一気に魅了されてしまいました。


熊谷守一は97年と長い生涯のうち、晩年の30年は全く外出をせず、自宅の小さな庭の虫や花を描き続けていたそうです。

「地蜘蛛」 1963年/油絵

「アゲ羽蝶」 1976年/油絵

虫にしても植物にしても、とても愛らしい姿です。
そして生き生きと感じます。

また、うっすらと見えるサインも味わい深い・・・。


そんな作品の数々を鑑賞するのにこの美術館の空間はとても居心地がいいのです。
久々に訪れましたが、いい意味で変わっておらず、のんびりと作品を鑑賞しながら贅沢な時間が過ごせました。

皆さんも近くに行くことがありましたら、是非寄ってみて下さい。
大きな美術館とはまた違った良さがありますよ。

http://kumagai-morikazu.jp/


銀座・恵比寿校講師 工藤






2013年9月2日月曜日

志水 蕉雨(しみず しょうう)

こんにちは。宇都宮校 小栗です。

今日は、私の祖父の曾祖父である。志水蕉雨の事を書きたいと思います。

彼は、幕末の京都で指をつかって描く水墨画家として活躍していたそうです。

中央の白髪の人が 蕉雨さん。その右の子供が祖父。


祖父は、季節ごとに蕉雨さんの掛け軸をかけかえてましたので

幼い頃から 彼の作品を見る事はありましたが

こう言ってはなんですが、子供にとっては あまり面白味のない絵でしたので

見ても ほとんど興味はありませんでした。


ただ、自分で絵を描くようになってからは

どんな風に描いてるのかな〜とさっと見るぐらいで

この時も生意気にも まださして…という程度でした。

金婚式の指画    


 それが、ある絵を見てからは、ただの絵描きから

どんな人だったのだろうと その人間像に興味が湧き始めました。

それがこの絵!


100号ほどの大きな作品だったため

なかなか祖父も出すのがおっくうだったのか、私も大きくなるまでは

この作品を見ることがありませんでした。

当時の画家たちは、動物園もなく寅や龍(動物園にもいませんが)は

想像で描いていたようなので、骨格がおかしいのですが…

しかし、なんて愛嬌のある寅!

同じ絵描きとして、見る事のかなわぬものを思考錯誤しながら 

この作品を描いていたのかと思うと

なんだか微笑ましくて、この絵を見てからは 

会う事ができたら さぞ話が弾んだ事だろう〜と思っています。