2013年10月4日金曜日

立石百景(葛飾立石)その7  (東京屋台)

地元の飲み仲間から「ニュートーキョー」と呼ばれている東京屋台は、
前回と同じく仲見世商店街にある。

のれんをくぐると、時に道祖神のように寄り添いながら寝ている老夫婦は、
12:00から、客がいれば最長0:00まで営む働き者。



この店の特徴は大きく2つ。



◉1つ目は、メニューの表記。

メニューは、白板、ゴシック体で書かれた短冊、そして、広告内容がかすかに感じ取られる、ぺらぺらの紙の小片の裏の3種。

と、ここまでは普通だが、夫婦で書いているせいか、統一表記になっていない。


例)
かつ煮(短冊)、カツ煮(白板)

チキンから揚げ(白板)、とりステーキ(白板)

○刺身マグロ(白板)、まぐろぶつ(小片)

ポテトサラダ(白板)、ジャガサラダ(小片)

茄子の天ぷら(短冊)、なす生姜焼き(白板)、肉ナスバター炒め(小片)



小学館アカデミー絵画倶楽部では、「絵は “同じ” を嫌う」という指導をしているが、
そういう意味では、これらは心地よいリズムを作り出している。

惜しむらくは生ビール。

よっぽど推したかったのか、短冊ゴシック体で、
生ビール、ウーロンハイ、レモンハイ、生ビール、、、と、“同じ” が存在する。






◉2つ目は、厨房ガス台前の壁面。

油を使う料理が多いせいか、アクリル板を樹脂コーティングしたような白い壁は、
すぐに油まみれになる。

1ヶ月に一度しか拭かないその壁面は、ターナーの絵画のような、深い色の層と複雑な模様が現れる。


東京屋台、ガス台前の壁面(イメージ)

拭いてしまえば二度と同じ作品を鑑賞することはできないが、
その都度画面が変わるので、「今月の一枚」を、無地の状態から完成までのプロセスを観ながら楽しむことができる。


先週は白いキャンバスだった。
来週あたり、ちょっと覗いてみようかな。


                        講師  平賀 太郎




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