2016年11月6日日曜日

庭にて

庭の柿の葉が色づきはじめた。
こんな季節があることを忘れていたなあ。思い出せてよかったな。


庭といっても自宅ではなく、親元の庭だ。
祖父の時代からの木々と母が好きに並べた鉢とが渾然となった小さな空間。 それでも梅が咲き、実る。父が大切にしている三つ葉つつじがあり、祖父が好きだった石楠花がある。千両はもう実をつけている。

ことしは初夏の頃、鉢植えのばらがよく咲いた。私はひたすらそれを鉛筆で、追いかけるようにして描いた。
花があること、スケッチブックがあることがとてもありがたかった。
その頃は体にも心にもかかる負荷が大きかったのだと思う。常に自分の展示のことも頭にあり、なかなか自宅に帰れないことが不安だった。 
美しい花が心を癒してくれたというよりも、季節がめぐれば必ず花開く植物の勤勉さに勇気づけられ、救われた。



より自分に素直に描くことが大切だと思うようになったのもその頃。
まだまだ描きたいテーマがあること、そしてもしかしたら できあがった絵が未熟であることもまた、幸せ。


明日から個展をいたします。
ばらのほか、顔のあるものの絵が並んでいます。
お運びいただければ幸いです。





  五十棲さやか展
  おさなごころ—絹・紙に墨で描く

  2016年11月7日[月]〜11月13日[日]
  11:00-19:00 最終日は17:00まで

  ギャラリーモーツァルト
  中央区京橋1-6-4 YKビル1F  ☎︎03-6228-6848  www.g-mozart.jp


どうなることかねえ、とやさしい三日月が

銀座校講師 五十棲さやか